2011年買収トレンド
昨年との比較 トッブファイブ 買収金額比較 2011年VS 2010年 サマリー
2011年は大型の買収が目立つ年となりました。株価の低迷するヘルスケアセクターではキャッシュリッチな大手メーカーが将来プロダクト、ビジネス獲得に動きました。特に、ジョンソン&ジョンソンはメディカルデバイスビジネスの建て直しを図るため、当社の歴史で最大の買収金額、$21.3Billion,となる、スイスのシンセスを買収したことは非常に際立ちました。2010年にはファイナンシャルマーケットの不透明さから大型買収が少なかったことを受けて、2011年は2009年に及ばないものの、いくつかの大型買収が見られました。 比較的大きな買収のプレイヤーにバイオテク企業が参加したことも顕著な動きです。感染症医薬品開発のバイテク企業、ギリヤードはC型肝炎ウイルス開発バイオテク企業のファーマセットを買収しました。現在肝炎の治療にはインターフェロン投与治療が多く取り入られており、長い期間病院での投与を行わなければない現状です。また、インターフェロン治療には副作用が強く出る患者も多く、治療を断念するケースも多々あります。C型肝炎が悪化すると肝硬変、肝がんに進行する場合もあり治療が重要です。こうした中、ファーマセットは1日一回服用、経口投与方医薬品を開発して折、大手ファーマからも注目されていた企業です。現在市場化された製品を持たないファーマセットの買収金額は当薬品の将来性に基づいています。一方、ギリヤードはAIDS治療薬で知られる、感染疾患治療のバイオテク企業で大きくなりました。ギリヤードのようにバイオテク企業が大型化してくると、自社開発では間に合わないため、大手メーカー同様企業買収を余儀なくされています。なお、ギリヤード社はここ数年間に数件の企業買収を行ってきています。 2009年にオリンパスの臨床検査部門を買収したベックマンコルターがダナハーに買収されたことも大いに興味深いディールです。ダナハーは家庭用ツールからデンタル機器まで製造販売する、売り上げ$13Billionの機器製造メーカーは、当買収によりベックマンコルターをライカも所属している、当社ライフサイエンス部門に吸収させる方向です。 企業買収においては、買収金額に折り合いがつかず競合会社に買収されてしまうケースも何例か見られました。加えて、買収される企業の強気の姿勢もあり、買収する企業のクリエイティビティが見られるアプローチも出てきています。特にプロダクトは市場化されていない場合の将来プロダクト売り上げ見込みに対して、リスクヘッジとして買収金額一括払うのではなく、段階的にプロダクトのサクセスにおおじて支払う方法が出てきています。 北米における政府のヘルスケアリフォームという大きな課題に直面してきています。米国内における医療費の値上がりがアメリカ国民の生活を圧迫し、政府支出の医療費負担が増大し、オバマ大統領を中心にヘルスケアの改革、医療歳出の削減、を計画してきています。加えて、ヘルスケア企業においては製品の特許きれ、製品問題の浮上、新製品認可のおくれなど、数々の課題を抱える近年でした。こうした課題の背景に対応するため、多くの大手企業は戦略の見直しが2009年より2010年にかけて行われ、多くの企業が人員削減、経費節減を実行されたのが2011年でのあります。また、新戦略にもとづいての提携や買収がみられます。今までとは異なり、ヘルスケアビジネスの効率化は製品開発段階にも製品の市場化の際にも広がる動きを見せています。また、コアビジネスの見直しと新時代へ向けてのビジネスの舵取りも見受けられ、こうした中、大手メーカーのノンコアビジネスの売却が見られる年でもありました。このため、ビジネスのフォーカスとしては新しい戦略の基づく企業買収が見られる年でした。このため、提携としては近年を下回る結果となったようです。 Comments are closed.
|
Industry Info.
recent news, reports, and more CategoriesArchives
January 2016
|